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岐阜県美術館「熊谷守一」展 [美術]

10月17日(金)、パートが休みだったので(金曜日に休みになることは初めてか?!)
岐阜県美術館の夜間開館に行ってきました。
「熊谷守一展 守一のいる場所」をやっています。
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「熊谷守一展」 9月21日(日)に一度見てきたんですが、
時間がなくなって最後の方が駆け足になってしまってたんですよね。
とにかくすごい作品数で。なので、9月23日(火・祝)にも行って、
図録を買い、所蔵作品展の方を見てきたんですが。

ゲストをお招きしての作品鑑賞会が開催されるとのことで、
熊谷守一の絵がこんなに揃って見られることはもうないだろうし、
もう一度見て来ようかなと。
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岐阜県美術館の後援会員となっているので、企画展一回ずつは
会員証提示で見られるんですが、二回目なので、チケット買うつもりで
いたんです。そしたら知人にバッタリ! 久しぶりでビックリしましたが、
その知人から、一緒に来る人が来られなくなったとのことで、
チケットいただいちゃいました! まぁ、なんてラッキー!!

熊谷守一(1880-1977)は、岐阜県中津川市付知町に生まれた郷土ゆかりの洋画家です。 葉書4枚ほどの小さな板の上に、身近な自然や生き物たちの姿を特徴ある赤い輪郭線と 簡明な色面で表現した画家として知られています。(チラシ裏面より)

そんな、いわゆる「守一様式」で描かれた絵、不思議な魅力があります。

彼の絵は個人蔵の作品が多いので、展覧会に借りてくるのが大変と、
担当学芸員の廣江泰孝さんが言われましたが、
うんうん、わかる。なんか熊谷守一の絵は家に飾っておくのにいいっていうか。
(もちろん我が家レベルの財力では手が出ませんが)
絵が小さいので、個人の家の壁にも飾れるってのと、
守一の絵は、見てると自然に笑みがこぼれてきちゃうんですよねー。

この魅力は何なんでしょうね?
こんな単純なカタチ、誰にでも描けそうにも思えるし、
今回の展覧会、とにかく枚数がすごいので、同じ輪郭線で、
塗り方がちょっと違う絵があるんですよ。これじゃ「ぬりえ」じゃん?
とも思うんですが、なんか守一なら許せてしまうっていうか。

休憩所の映像で、《伸餅》の絵を見た昭和天皇が
「何歳の子供が描いたのか」とおっしゃったとか。
映像のナレーションでも、その言葉は熊谷守一の絵にとっては
最高のほめ言葉であろうと。

今回の展覧会で、私が一番気に入ったのが《かたばみにいぬのふぐり》
守一以外の誰が、こんな小さな、ありふれた雑草を主題に絵を描く?!!
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晩年は自宅から出ず、日がな庭に寝転がって蟻などを見て過ごし、
「画壇の仙人」と言われたと。

うんうん、「仙人」が絵を描いたら確かにこんな絵だろうと。
(特に水墨の絵が仙人のイメージ)

でも、そんな「仙人の絵」が描けるようになるまでにはずいぶんと
「仙人の修行」のような試行錯誤や経験があったわけで‥‥

いわゆる「守一様式」の絵って、制作年を見ると1950年以降からで、
守一は1880年生まれなので、70歳を過ぎたあたりからやっとなんですよね。

(チラシ裏面の文続き)
70歳を過ぎた頃から描かれるようになるそうした画風とあいまって、 著書『へたも絵のうち』や『蒼蠅』で知られる脱俗した生き方は、 今もなお多くの美術ファンを魅了し続けています。 本展覧会では、油彩画200点、水墨画や素描など100点を超える作品を展示し、 熊谷守一の見ていた世界をご紹介します。

それまでの絵は、私にはふーん‥‥ってカンジなんですよ。
熊谷守一は郷土の画家なので、岐阜県美術館も作品をたくさん所蔵していて、
初期の《蝋燭(ローソク)》は、よく山本芳翠の《灯を持つ乙女》あたりと
並んで所蔵作品展示に掛けてあったりして、それを見ると、
あぁ、熊谷守一は青木繁と東京美術学校の同級生で、黒田清輝に学んだという
昔からの(?)画家なんだなーってことは感じることができるんですが、
この《蝋燭》なんか暗いばかりで、あまりいいとは思ってなかったんです。

この展覧会、最初に、美術学校での裸婦デッサンや、
夏の休暇を利用した徒歩旅行でのスケッチ帳などから展示されていました。
(この旅行中に父が亡くなり、守一の生活環境は一変します。)
美術学校で優等生だったというのがわかる上手い絵です。

そして、《轢死》という、守一にしては大きな作品ですが、
真っ黒で何が描いてあるのかわからないという作品が、
赤外線写真と共に展示してありました。
夜、女性の轢死事故に遭遇して、死体をスケッチしたものから作品にしたものだと。

なぜこんなに暗くなったのかはわからないが、
(《蝋燭》も暗色化が疑われているそう。)
初期の守一は、暗かったんだなーと。これは彼の、経済的には恵まれていたが、
複雑な家庭に育ったということもあるのかなと。

それから、樺太調査隊に加わったり、母の死で郷里の付知に戻り、
そのまま30歳から35歳まで、付知で、冬は日傭(ひよう‥‥山から切り出した材木を
川流しで搬送する人夫)をしたりして過ごし、35歳で上京、42歳で結婚。
貧しさの中、5人の子どものうち3人の子どもを亡くす。

妻からは何べんも、「絵をかいて下さい」といわれました。たとえいいできでなくとも、 作品さえできればなんとか金に代えられるというのです。‥しかし何度もいうようですが、 あのころはとても売る絵はかけなかったのです。(『へたも絵のうち』より)

次男の陽が四歳で死んだときは、陽がこの世に残す何もないことを思って、 陽の死顔を描きはじめましたが、描いているうちに“絵”を描いている自分に気がつき、 嫌になって止めました。(『蒼蠅』より)

そして、1947年に長女の萬が21歳で亡くなり、その遺骨をもって火葬場から帰る
自分と長男、次女を描いたのが、岐阜県美術館所蔵の《ヤキバノカエリ》
所蔵作品展示によく掛けられているので、私はよく見ている絵なんですが、
今まで、そんなにいい絵だと思ってなかったんですよね。
熊谷守一らしい赤い線で描かれているんだけど、なんかマンガみたい。
だいたい題材が‥‥って、この絵をどう見たらいいのかわからなかったんです。

その場で早描きの《陽の死んだ日》と違い、《ヤキバノカエリ》は、
長女が亡くなって何年もかけて制作し、「手入れ」をして、
97歳で亡くなるまで手放さなかった絵だと。
この作品の後、いわゆる「守一様式」の赤い輪郭線が出てきたことも思うと、
守一にとって重要な絵なんだなーと。そんなことを知って見ると、
のっぺらぼーの顔がまた違って見えてきたりして。

その作品の後は、膨大な守一の作品が、例えば猫のコーナーでは、
愛知県美術館(木村定三コレクション)の猫や、白猫
メナード美術館の斑猫などが集められていて、猫好きにはたまりません!
愛知県美術館の《猫》はスケッチの段階では2匹いたんだと。

アジサイの絵が4点展示されているコーナーもあって、
まるで抽象絵画のようにも見えて面白い。
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今回、こんな膨大な作品を展示することができたのは、
愛知県美術館の全面的な協力があったからだと。
愛知県美術館は熊谷守一の作品を215点所蔵しているけど、
その作品は木村定三氏というコレクターの作品を寄贈されたものだと。
愛知県美術館、私もよく行きますが、最後の部屋が
たいてい木村定三コレクションの展示室になっていて、今までもよく
熊谷守一の絵や書が展示してあって楽しかった。

で、10月17日(金)のゲストをお招きしての鑑賞会は、
愛知県美術館の学芸員・石崎尚さん。
「熊谷守一展をするのでと作品を借りに来られて
『どの作品を貸しましょうか』と聞いたら『全部貸してください』と言われた。」とか
(実際に出品されているのは85点ですが)
木村定三さんのコレクションに対する方針というか思いとか、
時には熊谷守一に対して画題のリクエストをして、
守一がそれに応えていたりしたという話が興味深かった。

多分、石崎尚さんが書かれた、愛知県美術館公式ブログの記事
空前絶後の熊谷守一展
http://blog.aac.pref.aichi.jp/art/2014/09/000770.html

資料として、木村定三の手紙と熊谷守一の手紙が展示されていたけど、
木村定三の手紙は、文字が几帳面でとても読みやすかった。

水墨画や書は、特に木村定三コレクションの作品が多いですね。
そして、愛知県美術館で見て思わず笑ってしまった守一の書
《かみさま》《ほとけさま》《からす》《すずめ》も来てましたが、
やっぱりすごくいいなと。

リニューアルして増床した、いつもは所蔵作品が展示されている部屋まで
使っての、充実の(正に空前絶後の)熊谷守一展でした。
「守一のいる場所 熊谷守一展」公式図録兼書籍2,500円+税が、
後援会員割引で2,300円になったので買ってしまいました。
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守一のいる場所 熊谷守一

守一のいる場所 熊谷守一

  • 作者: 熊谷 守一
  • 出版社/メーカー: 求龍堂
  • 発売日: 2014/09
  • メディア: 大型本



岐阜県美術館では今までも熊谷守一展結構やってますが、
2008年9月12日(金)~10月26日(日)
いのちのかたち 熊谷守一展
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2004年9月17日(金)~10月30日(日)
「熊谷守一寄贈作品資料展 守一ののこしたもの」
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やはり今回の展示点数すごかったです。

私、結構昔から熊谷守一のファンだった?
『へたも絵のうち』持ってます。

へたも絵のうち (平凡社ライブラリー)

へたも絵のうち (平凡社ライブラリー)

  • 作者: 熊谷 守一
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 文庫



表紙は愛知県美術館所蔵の《猫》だと思ってたんですが、
こっちの制作年に1959年ってあるので(愛知県美は1965年)
違う作品? そーいやー背景の色が明るいけど‥‥
しかし、いくら自分の作品だからって、
ここまで似てたらコレクターは怒るんじゃないかと心配するんだけど。
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所蔵作品展は、スペースが少なかったですが、
矢橋六郎の作品が6点まとまって展示されていて、
へー、面白い作家だなと。特に《美人コンクール》が面白かった。
昭和のモダン?ってカンジ。

(はー、なんかやっとブログ記事書けました。
 ついつい凝っちゃって、私も疲れましたが、
 ここまで読んで下さった方がいらっしゃいましたら、
 お疲れ様でした。お礼申し上げます。)

岐阜県美術館のHP: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/
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